18世紀ロンドンの見習いたち

レオン・ガーフィールド作の「見習い物語」を読みました。この本も岩波少年文庫です。いやぁ、少年じゃないのにお恥ずかしい。でも岩波少年文庫は名作しかないからはずれがありません。本当なら少年か少女の内に読んでしまわなければならなかったのだけれど、ついつい読みはぐれてしまった。そんな名作を今でもこっそり読んでいます。

「見習い物語」は、十八世紀の半ばごろ、ロンドンの下町のいろんな職業の見習いの子どもたちを主人公にした連作短編です。職業は本当に色々です。たとえば一作目が点灯夫って職業なんですけど、聞いたことあります?街灯に火を灯す仕事です。それからポピュラーなところで産婆、質屋、印刷所、ペンキ屋。変わったところでかつら用の髪を売買する商人なんかが出てきます。歴史小説の得意な作家さんだということで、生きてたのか?と思うほどのリアル感。

18世紀中ごろのロンドンっていうと、光と闇の時代ですよね。商業的にも栄えてましたし、劇やオペラなんかのエンターテイメントもたくさんあって、旅行者の外国人が他の国の都と比べて驚くほど明るいというほど夜も明るかったとか(例の点灯夫の灯すガス灯の明かりです)。でも一方で衛生状態が悪くて病気にかかることも多かったし、何しろお手洗いがこのころまだきちんとしてなかったんですよ。便器に用を足してそれを窓から投げすてたり(何故窓から?って感じですが。上下水道整ってないにしてもこっそり穴掘って埋めるとかなかったんでしょうか)していて、道路とかやばいくらい汚かったそうです。歴史の資料集に出てくる煙突掃除の子どもの絵、あれはこのころの時代ですね。子どもの死亡率が高くて生まれた赤ちゃんの半数が二歳にならずに死んだそうです。

そんな勢いもあったけれど問題もあった時代を、親元を離れて親方のところで修業する子供たちの友情やら恋やらのお話なんですが、これが実に面白い。女の子も男の子も、端役で出てくるおじさんもおばさんも、強かで元気がよくて、勢いがあります。季節感とか当時の風習なんかもうかがえて、そういう面でも興味深いですね。今ひとつマイナーな作品ではありますがまちがいなく良書なので、ぜひご一読を。恥ずかしいならお子さん、姪御さんへのプレゼントを言い訳に買って、自分で一足先に読んでみてください。あげたくなくなりますよ。