生活保護受給者をひとくくりにしないで!

有名タレントの母親が、生活保護を受給していることが問題になりました。
1000万以上の収入を得ているにもかかわらず、母親は生活保護を受給していたためです。

わかりやすいニュースでなので、週刊誌をにぎわしています。
話題のネタにもされやすく、批判的な声が大半です。
「だから生活保護受けている人ってダメなのよ」「私たちはまじめに働いているのに・・」

タレントの取った行動のいい・悪いは別にして「生活保護受給者」をひとくくりにして考えるのは、疑問を感じます。
社会福祉士として働いていた私。社会福祉士として、生活保護を受けている人をサポートしていました。

社会福祉士は生活上の問題をサポートする「よろず相談所」のような役割を担っています。
私が大切にしてきた3 つのポイントを紹介しながら、「生活保護受給者の現実」を語っていきたいと思います。

(1)育った家庭環境
幸せな家庭で何不自由なく育った人はあまりいませんでした。アルコール依存症の父親がいる家庭で育ち、日常的な暴力にさらされている人。
早くに両親を失い、親戚中をたらい回しにされた人。

それぞれが壮絶な過去を持ち、複雑な家庭で育っていました。
心に深い傷を負い、心の病にかかっていることもありました。社会福祉士は人をサポートする仕事です。
人となりを知るためには、家庭環境を知ることは欠かせませんでした。

(2)「世間様に申し訳ない」という心をほぐしていくこと 
生活保護受給者の多くが、65歳以上の高齢者です。戦争を経験しているためか、「働かなければ食うべからず」という考えの人が多いのです。
高齢の上、病気のために働けない。このままでは生活苦で自殺すら考えてしまいます。

だからこそ、最後の砦であるセーフティネット、生活保護を受給しているのです。
しかし、「働いてない私が国のお世話になって、世間様に顔向けできない」と嘆く人がいます。
そのことが気になって頭から離れず、うつ状態になる人もいます。

社会福祉士は「あなたはそのままでいいんですよ」と相手を受け入れることが大切です。
気持ちは鏡のように相手にそのままうつってしまうもの。
「申し訳ないという気持ちは消えないけれど、だからこそリハビリがんばるわ」と気持ちが前向きになってくれたら、めっけもの。
心の中でガッツポーズをする瞬間です。

(3)「はじめの一歩」をサポートする 
生活保護受給者のなかには、ギャンブル依存・アルコール依存の人もいます。
実際、保護費をギャンブルに使ってしまう人もいます。
「国民の血税をなんだと思っている!」と世間の批判を浴びがちです。

しかし、ギャンブル依存の裏には心の病が隠れていることがあります。
長年の習慣になった悪い行動パターンを軌道修正していくことも、社会福祉士の大切な役目なのです。

私が支援した人に、こんな例がありました。
統合失調症という幻聴が聞こえる心の病を抱えていた男性。
ギャンブル依存がひどく、保護費が出たらギャンブルに使ってしまう人でした。

支援者チームとその男性、だんだん信頼関係ができていくうちに、ある変化が訪れました。
「引越ししたい」という夢が出てきたのです。
詳しくは書けませんが、症状や近隣との関係を見ると「引越し」は本人の状態を好転させる可能性が大でした。

もちろん受給者が「引越したい」といったからといって、全て受け入れるわけではありません。
支援チームで応援したところ、「俺はまっとうになる!」大好きな競艇場の前に行くだけで、中に入らない。
脱ギャンブル宣言をしてくれたのです。

引越し費用を貯めると、家計簿までつける変化に、嬉しいやら、びっくりするやら・・。
脱・ギャンブルの「はじめの一歩」をサポートすることができました。

生活保護受給者といっても、状況はひとそれぞれ。
ひとくくりにせず、「不正受給者もいるかもしれないが、全員はそうとは言い切れない、人はそれなりの事情がある」と考えてみてください。